京都ちーびず
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地域の足を守る「ささえ合い交通」が好調~NPO法人・気張る!ふるさと丹後町

ちーびずとは
京都府内各地の元気な京都ちーびず(京都地域力ビジネス)を紹介していきます!
この記事に登場するちーびずさん
東和彦さん(NPO法人気張る!ふるさと丹後町専務理事)
東和彦さん(NPO法人気張る!ふるさと丹後町専務理事)日本初のICT(Uberウーバー・システム)を活用した公共交通空白地有償運送【ささえ合い交通】で「丹後町民で良かった!」を実現しているキーマン

京都最北端、広がる青い海と水平線。間人(たいざ)ガニや豊富な海の幸に恵まれた京丹後市丹後町。

タクシー会社が撤退し、「足」の確保が課題になったこの町で、 日本初の画期的な取り組み、自家用車(マイカー)で住民ドライバーが有償運送する「ささえ合い交通」が、スタートから1年が経ちました。

マスコミが大挙して押し寄せ、そして今も視察の相次ぐ丹後町へ、NPO法人『気張る!ふるさと丹後町』を訪ねました。

元行政マンの「行政を頼らない」がキーポイント

お話していただいたのは、「ささえ合い交通」の運行管理者、東和彦さんです。
東さんは元行政マン。さすが、完璧なパワーポイント資料です。

20170623ささえあい (5)

日本初で注目されるのは、公共交通空白地の有償運送に、アメリカ・ウーバー社のアプリを活用しているから、とのこと。

公共交通空白地有償運送とはいかにも「専門用語」って感じですが、お客様を車に乗せて運賃をいただくとなると、国・府・市・警察・運送事業者らの合意がなければ申請もできないという高いハードル。それらを超えて認可を受けられた「ささえ合い交通」。書類や調整、諸々にとても大変だった立ち上げのお話をお伺いしました。書類作成って、私には考えるだけで気が重い。

元行政マンの経験は随所に活かされたようですが、加えて、お父様の「生きるということは、食べたいものを食べ、生きたいところに行く。そうやって、楽しく生きていきたい」という思いに共感し、丹後町をみんなが楽しく暮らせる地域にしたい、との強い思いで突き進まれました。

「特に合併してできた市は、旧町意識が色濃く残り、一町だけが突出する施策は行政の動きも鈍くなりがち。とは言え、補助金は毒饅頭のようなもの。一度使うことに慣れてしまったら、抜け出せないままに終わってしまう。なので、行政に頼らず自分らで運営を続けられるシステムを作っていかんとアカン」と東さん。これぞ元行政マン、とても奥が深い!?

始まりはデマンドバスから

東さんは、行政マンとして市民生活と深くかかわる部署で、住民の足の確保に直面してこられて、退職後はまず、NPOの立ち上げに参画。その後、デマンドバスの運行を市より受託。地域の足を確保されました。いろいろな課題はまだまだあったとのことですが、とりあえず第一歩を踏み出して、後は走りながら問題を解決しようとアクションを続けられ、そのデマンドバスの基礎があったからこそ、住民ドライバーの「ささえ合い交通」につながりました。

 

アメリカ生まれの配車システム・ウーバー

一般的には電話でタクシーを呼ぶと、タクシー会社の中でやり取りがあって、待ってる場所へタクシーがやってきてくれます。
「ささえ合い交通」は、それを乗客自身がスマホやタブレットを操作して完結させる。やってくるのはタクシーではなく、住民ドライバーの自家用車。支払いはクレジットカード払いか現金払いか、選択できる。もっというと、ドライバーも評価され選択されるシステム付きらしいです。

ウーバー社のシステムを、丹後町流に改良しつつ、観光もOK

とはいえ、丹後町のお年寄りの誰もかれもがスマホやタブレットを操れるわけではありません。

そこで代理配車するサポーター制度が取り入れられることになりました。スマホに不慣れなお年寄りに代わって車を呼ぶのは、地域のスマホを所有されてる方やお店の方。ここでしかできない希少な体験ができると(なにせ日本初!)、若い方も協力的。

「ちょっとかっこええですやん。最先端に自分が関わってる。スマホをササッとさわって、車きたで~とお年寄りに」いや~、すごいのはアプリをバージョンアップさせてしまう地域の皆さん!
そして、好意でサポートされる方が不利益を被らないようにと、現金払いも導入。利用しやすくなり、ハードルも下げられます。

 

そしてこのささえ合い交通、「地域住民」以外も利用可。町外の方が丹後町内に来られた時もタクシー料金の1/2程度で観光に使っていただけるんです。

もちろん、住民ドライバーとの会話も楽しめるはず。オススメのスポットも教えてもらえるでしょう。

 

ドライバーと安全対策

足となられる住民ドライバーは18名、45歳から70歳まで。うち女性4名。
14名の1種免許の方は国の講習を受けて活動されています。自家用車を利用するので、半年に一度車両点検を受け、悪戦苦闘しながらもスマホやタブレットを操り地域貢献に燃える、東さんいわく「地域をよくしたいという崇高なボランティア精神の持ち主」だそう。メンバーさんらも素晴らしい。

そして、ちーびず的なのは、利用代金のうち、システム利用料、運営経費を除いたものがドライバーさんの報酬になるそうで、これだけで食べていけるビジネスではないですが、ガソリン代やら手間賃やら、地域のためになら「続けられる」程度の収入が入るシステムとなっています。

「ささえ合い交通」では毎朝、出庫前点検も実施。対面のこのチェックが通らないとドライバーが保有するタブレットのスイッチはオンにはできません。道路運送法という法律をクリアするためという意味を超えて万全の体制づくり。毎朝それをされるみなさん、やっぱ、すごいです。

 

満足度120% 丹後町民に生まれて良かった!

地域の利用者さんは、いつでも365日8時から20時まで、好きに動けて安心して生活できる町、と大満足される方も増えています。
1年たった今、利用頻度は月60回以上。「1日2回。たかが・・・されど・・・そんなにあるとは夢にも思わなかった」そうです。
利用の8割は地元の方の通院、買い物、ちょっとした外出です。2割はインバウンド。「ウーバー体験」をされる方もあるとか。いいんじゃないでしょうか。せっかくなら、魅力いっぱいの「海の京都・丹後町エリア」を満喫して欲しいものです。

「白タク」でなく、安心して利用してほしいから

緊急時、近所の方になにがしかのお礼で車輸送をお願いするのは「白タク」。丹後町もこれまではやはり白タクに頼る以外ありませんでした。けれども、事故の危険、恩が仇になってしまうのはやはり悲しい。法律にのっとった安心のシステムで堂々と乗って欲しいし、乗りたいです。

実は、私は、かやぶきの里で有名な京都府南丹市美山町に在住。森の自然豊かな美山ですが、車がないと日常生活は大いに困ります。ちーびず推進員としても美山の住民としても、この「ささえ合い交通」にすごく興味をもって、今回の取材にも立候補しました。キーマンがいらっしゃってこその日本初チャレンジ、ということはよくわかったのですが、なんとも、うらやましい限りです。

感謝の言葉しかない

離れて住まう子供さんたちから、「親が診療所への通院に使っている。感謝しかない」
認知症のご主人を支えて、「ドライバーさんにありがとうしか言ったことがない。ささえ合いに助けてもらってる。羽根が生えたようです!」

利用される方々からは、ほんとに感謝の言葉が続々と届くようです。「丹後町民がうらやましい」同じ京丹後市の他旧町からも。。

あ~なんか、この日見た丹後の海のような爽快感です。

ちょっと隣町のスーパーまでってとき、バス200円、タクシー4,500円、ささえ合い交通約2,200円。高額感はあるけれど、大雪の日、買い物が多い日、ドアツードアの利便性は大きく、「3人で乗れば元がとれるし、 特に女性は、要るものは要るし、無料はかえって面倒くさい(笑)お礼をしなくちゃとか、ちょっと渡す手土産とか、お茶とか・・・無料はキライ、という人が多い」 さらに「有料は人間の尊厳を保つこと」と、おっしゃる東さん。

次の課題解決に向かって

「今は旧丹後町内からの利用しかできないので、旧町外へ出かけると、帰りに旧町外からの利用はできません。せめて京丹後市内、さらに、大きな病院のある近隣市町へ出かけられれば、利便性もかなり上がるはず。ぜひこのシステムを導入してもらえるよう、もう少しがんばっていきたい」

人口減少、大介護時代はすぐそこに来ています。地域で楽しく暮らし続けるために、自分たちができること、そろそろ本気で考えないといけないですね。

とにかく一度、京丹後市丹後町へ出かけてウーバー体験してみませんか!まず、住民ドライバーに、おいしいお魚が食べられるところを聞いてみるのもいいですね。

ちーびず推進員メモ

京都府では、地域の課題解決・元気づくりを自立・継続して取り組む【ちーびず】を推進しています。
10名の京都ちーびず推進員がそれぞれの得意分野を生かして支援や広報をしています。
お気軽に京都府地域力ビジネス課(ソーシャル・ビジネスセンター)へお問い合わせください。TEL:075-414-4865
竹嶋貴代美
by
亀岡に生まれ育ち、美山に嫁いで三十余年。家業(電気・水道工事店)の傍ら、婦人会・PTA・自治会・商工会女性部などで地域活動に参画。現在は『老活サポート』もおこなっています。 『森の京都』地域を中心にちーびず活動をお手伝いします。
(有)竹島電機ホームページ:http://www.athome-nantan.com/

コラボ推進員

蒲田充弘
京都府の北部を中心に様々なちーびず団体のコラボレーションを推進しています。
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