京都ちーびず
ちーびず推進員が京都府内のちーびず(地域力ビジネス)を体験・体感して報告します!

普段使いしながら備える、暮らしの防災。(株)カスタネットの「そなえる.com」

ちーびずとは
京都府内各地の元気な京都ちーびず(京都地域力ビジネス)を紹介していきます!
この記事に登場するちーびずさん
植木力さん(㈱カスタネット 代表取締役兼社会貢献室長)
植木力さん(㈱カスタネット 代表取締役兼社会貢献室長)「社会貢献」と「ビジネス」を車の両輪とし、ソーシャルビジネス支援にも積極的に取り組む。特に「そなえる.com事業部」で防災関係用品を扱うとともに、自らも防災ソムリエとして、実際に被災地に出向き現場の声を生かした商品開発をしている。

近年、ゾッとするような災害が起こる。

今年の九州北部豪雨被害の後、テレビに映し出された山肌を引っ掻いたように何本も残った土砂崩れの跡は、衝撃的だった。数十年数百年かけて自然が作り上げてきた地形すらたったの一日で一変させるような豪雨被害。近年毎年どこかで起こっていることとは言え、その暴力性を徐々に増してきているような気がしてゾッとする。

私の住む京都市内には近年天変地異が起こることが少ない。とは言え、元々活断層の密集地でもあるし、上記のような豪雨被害を見ていると何が起こるかわからない。府内を見渡せば平成16年10月の台風被害や、市内でも毎年のように起こる桂川流域の浸水被害など、「ちょっとその辺り」で起こった災害もあるのだ。

そんな中、防災活動や日頃の防災の備えに役立つ取り組みをされている事業者を、このブログでもいくつか紹介しているが、今回、「普段使いのちーびずカタログ」第4弾として「暮らしの防災、普段使いのススメ」を発行するにあたり、ちーびずアドバイザーで、防災ソムリエの株式会社カスタネット・植木社長にお話をお伺いした。

 

社会貢献と事業を車の両輪として。

そなえる.com(http://sonael.com/)を始めとする販売チャンネルを通じ、個人に対する防災用品の販売だけでなく、企業に対する防災計画の導入サポート、企業が立地している地域との連携の提言など、幅広い活動を行うカスタネット。

元々オフィス家具・事務用品の販売を行っている会社。「社会貢献」と「事業」を車の両輪とし、販売側が感謝されるビジネスが理想。大手事務用品メーカーとタイアップし、その売り上げを伸ばしてこられた。

ところが、ネットでの販売が主流になるに従って、お互いの顔が見えない、金額を合わせるだけの商売に陥っていることに気づいた植木社長。そんな時に原点に立ち返り、「人の役に立ち、感謝されるビジネスとは?」と自問自答した末にたどり着いたのが防災というキーワードだった。

 

防災事業にかける情熱

とにかく防災事業にかける情熱はすごい。

熊本震災の時には震災後に現地入りし、震災直後に何に困ったのかを20ー80代の男女、100人を超える人に取材をした。NHKの取材クルーや、警察官を呼び止めて、「地震の時に何が困ったのか」を問いかけた。「防災の商品を扱うなら、現地に行って現地の声を聞いたり、体感しないと本当に必要なもの、必要なカタチは見えない。」東日本大震災の時も現地に何度も入るなど、防災とは?を問いかけ続けている。

 

災害直後には「水」と「トイレ」と「プライバシー」

防災用品の機能として、求められるのは災害直後や復旧時の様々な問題を解消する物資という部分だが、植木社長によると、現地で問題になることには防災用品としてイメージするものとの乖離があるという。

現場で聞いた、災害直後の必需品トップ3・・・

1、水・・・とにかく絶対に個人で備蓄しておいて欲しい!

川がそばに流れ、水が豊富にあるような地域でも、実際に災害にあうとその供給がいかに難しいものかを感じるのだという。水は飲料として必須のものという認識が強い側面もあり、被災者がまず求めるのが水なのだ。そして水の問題でも多く声を聞いたのがトイレに関する水の不足だったそう。

2、そしてトイレ

植木社長は、男性でも排泄を近くの畑の中でするのは恥ずかしかったという声を聞いた。それはそうだろう。自分に置き換えてみてもやっぱりそれは抵抗感があるし、街中でできないからといって田舎でできる訳ではない。男性ですらこれなのだから、女性の心理的なダメージは大きい。熊本震災の時に植木社長がヒアリングした90歳代のおばあさんから「自衛隊員が囲んで作ったブルーシートの簡易トイレの中で用を足したことは、一生忘れられない心の傷になっている」と聞かされて、出来ることなら誰にも、こんな経験はして欲しくないと、新商品マルチポンチョの開発にもつながったとか。

3、さらに、現場に出向いたからこそわかったプライバシーの重要性

非常時の避難所でも、人が生活する際に無くてはならないものは物資だけではない、ということ。やはり、トイレのプライバシーは日常の暮らし同様に必要であると、多くの方から聞かされて、ちょっとびっくりされたとか。

防災として普段意識する「食料」よりも、水とかトイレといったことが現地の声として大きかったことに気づく。現地では実際に防災食を食べきった、という方はほとんどないらしい。だいたい、非常事態で身内や近所の人らが行方不明だったり家屋の被災を心配している時に、食欲なんてほとんどなく、空腹を感じれるほどに少しでも落ち着いた頃には、幸いにしておにぎりやカップラーメンといった普段口にするようなものがすぐに手に入った、ということのようだ。

普段使いの「防災」

東日本大震災・熊本震災などの聞き取り調査を経て、植木社長は、防災の備えと言っても、行政の備えや、会社や企業の備え、自治会や地域単位の備えは違い、それぞれに重要な役割を踏まえて備えておくことが重要。そして、もちろん、自分で自分を守る基本となる「家族・世帯」の備えは最重要で、しかも、備えはどんなものでも普段使いして慣れておかないと、非常時に初めてのものをいきなり使うのは無理。

ということで、防災の備えとしていくつかの現実的な提案をしていただいた。

  1. 水は世帯・地域それぞれの単位で備蓄する。
  2. 食料に関しては普段から買うものの中に、少し日持ちのするものを、少しだけ多く買う。
  3. 持ち歩けるような防災用品を準備する。
  4. 特にトイレやプライバシーといった実際に被災者となった時に起こる問題を解決できるようなものを準備する。

その他に、「ブルーシート」は地面に敷いたり、壊れた家屋部分を覆ったり、何かを包んだり、寒い時は防寒もできるなど、とても優れもモノなので、ぜひ準備物に入れて欲しいが、薄っぺらいシートでは役に立たないので、絶対に厚手のものを準備して欲しい、そうだ。

こういった提言を踏まえ、カスタネットが自社製品として開発した商品を最後にご紹介したい。

 

1、マルチポンチョ

一見はゴミ袋。そしてその実はいろんなタイミングで使うことができるポンチョ。前述のように、トイレについて災害時には大きな問題になることを東日本大震災の際の聞き取り調査を通じて知った植木社長。いつでも、どこでもプライバシーを実現するのはこの形しかないと考え、あえて中身が見えない黒で商品を企画。熊本震災後のヒアリングでは、「こんな製品が欲しかった」との声が多かったそうだ。

簡単(頭からかぶるだけ)、軽い(重さ70g)、コンパクト(かばんに常備可)。肩の部分にミシン目があり、用途に応じて両腕が出せ使い方は色々。いろんな緊急時に使えるのが魅力。例えば、長時間屋外にいるようなスポーツ観戦・イベントの時、自転車で急に雨に降られた時とか。これなら確かに持ち運びもできる。

2、防災ポーチ

マルチポンチョと携帯トイレなど、必要最小限の防災グッズ7点が入ったポーチ。災害はいつどこで起こるかわからないことから、「持ち歩ける防災グッズを!」との想いから生まれた商品。

ポンチョもポーチも、会社や地域のイベント記念品などにも人気の商品。もちろん、京都府庁女子職員のオススメにも選ばれているし、売り上げの一部は、熊本県を通じて熊本城復興支援に寄付されるしくみ。

3、防災ボックス

これも普段の生活の中に防災を、との思いから生まれた製品。普段は書類箱と並べて置けるが、緊急時には持ち運びできる。何とこの箱、広島平和記念公園に贈られた折り鶴を配合した紙で作られている。

 

最後に。

「防災」。個人的には諦めに似た響きを持つ言葉。ここ数年日本全国で起こった巨大で暴力的な自然災害に対して、あまりに人間は無力に見える。それでも、防災という言葉がなければ、災害を防ぐ努力や災害を拡大させない努力がなければ、多分思っている数十倍・数百倍の被害が出ていたと思うと、改めて今防災について考える必要を想う。

私たち個人や企業ができる普段の防災は、災害後や回復期に起こりえる問題に対しての対応が現実的と言える。植木社長の現実的な提言は「それならできるかも」、と思わせる。

 

頭の片隅にまずは防災という言葉を置くこと、それがちーびず的な防災のことはじめかもしれない。そんなことを考えながら、普段使いのちーびずカタログ第4号では、地域の繋がりを楽しく作っていくための防災バーベキューといった取り組みや、それを使命とする地域のコミュニティラジオ、その他、植木社長の提言に沿って、普段から食べているような食品を防災という観点で取り上げてみたいと思う。

井上 淳
by
いのうえと申します。二代目ちーびず推進員の一人ですが、推進員の中でも下っ端を自負しております。お仕事は幅広くデザインのことをかじっております。両親は九州と中国地方出身、私は京都府出身京都市在住。実は、遊牧民のような出自のせいか、京都府各地のことはよく知らないことばかりなのです。。。
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